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園芸業界の悪しき薄利多売。お互いに首を絞め合う商売の果てに
「安く売ること」が正義だった時代 「いいものを安く売る」。 これは商売の鉄則ともいえる考え方です。 バブル期から、その後の長いデフレ時代にかけて、 日本ではいかに安く仕入れ、安く販売するかが商売の大きな焦点になっていました。 薄利多売というビジネスモデルが成り立っていた時代です。 園芸業界も例外ではありません。 生産者はできるだけ安く出荷し、 市場は安く仕入れ、 小売店は安く販売する。 少しでも価格を下げることが競争力につながり、 安さこそがお客様に選ばれる理由になっていました。 しかし、時代は変わりました。 世界情勢の不安定化やエネルギー価格の上昇、 資材費や物流費の高騰など、 商売を取り巻く環境は良くも悪くも大きく変化しています。 日本でも物価上昇が続き、金利も上昇局面に入りました。 こうした時代に、昔と同じ感覚で薄利多売を続けていくことは、本当に正しいのでしょうか。 値上げできない商売は、やがて行き詰まる 長年、薄利多売を続けてきた事業者の中には、 利益を削り、自分たちが身を切ることで価格を維持してきたところも少なくないでしょう。...
10月23日


なぜ日本はハンコをなくせないのか?AI時代に必要なのは「仕事をなくす」発想
日本では、長い間「ハンコ」が仕事の一部として使われてきました。 申請書にハンコを押す。 上司のハンコをもらう。 書類をFAXする。 届いた書類を確認し、またハンコを押す。 デジタル化が進んだ今でも、こうした光景は残っています。 「ハンコ業界などの既得権益があるから」と考えたくなりますが、それだけではありません。 実際には、ハンコを中心とした仕事の仕組みそのものが、長い時間をかけて社会に組み込まれているからです。 例えば会社の稟議書。担当者、係長、課長、部長……とハンコを押していく。 非効率に見えても、 「みんなで確認した」という証拠になります。 つまりハンコは、承認の道具であると同時に、 責任を分散する道具にもなっていたのです。 園芸業界にもある「昔からの仕事」 こうした問題は、園芸業界も決して無関係ではありません。 園芸店では、植物の仕入れ、値付け、在庫管理、売場づくり、POP作成、伝票処理、SNS投稿、イベントの案内など、実に多くの仕事があります。 しかも、その中には「昔からそうしているから」という理由で続いている作業もあります。...
10月5日


夏は「さっぱり」
「お風呂上がりにさっぱりした」 「夏はさっぱりしたものが食べたい」 私たちが暑い日常で何気なく使っている「さっぱり」という言葉。 実はこの言葉、使う文脈によって「心地よさ」を表すこともあれば、 「最悪な状況」を表すこともある、とても不思議な二面性を持っています。 例えば、園芸の現場では 「真夏は商品がさっぱり売れないんだよ」 とため息をつくとき。 ここでの「さっぱり」は「全く、少しも」という強い否定の意味になります。 なぜ、爽やかで気持ちの良いはずの言葉が、 「全然ダメ」というネガティブな意味でも使われるようになったのでしょうか? その理由は、この言葉の「語源」に隠されていました。 語源は「爽やか(さはやか)」 「さっぱり」のルーツは、清々しさを表す古語 「さはやか」にあると言われています。 室町時代から江戸時代にかけて、この言葉が 「はっきりと、すっきりと」を意味する「さっぱと」になり、 現在の「さっぱり」へと形を変えていきました。 言葉の根底にある共通のイメージは、 「余計なものが残らず、きれいに突き抜けている状態」です。 「気持ちいい」から
8月12日


掃除は、部屋ではなく自分を整える。「過程」の価値
「掃除をしても、また汚れる。」 これは誰もが知っている事実です。 床を掃いても翌日には埃が積もり、 庭をきれいにしても風が吹けば落ち葉が舞い、 植物の枯れ葉を取り除いても、季節が巡ればまた新しい葉が生まれ、 やがて役目を終えて落ちていきます。 もし掃除の目的が 「永遠にきれいな状態を維持すること」 だとしたら、その仕事は決して完成しません。 では、私たちはなぜ掃除をするのでしょうか。 私は園芸の仕事をしています。 仕事場に着くと、最初に行うのは掃除です。 棚を拭き、こぼれた土を集め、枯れ葉を取り除き、水をやる。 一見すると誰にでもできる単純な作業です。 しかし、この時間は私にとって仕事を始めるための 「儀式」のようなものになっています。 手を動かしているうちに頭の中が静かになり、昨日までの出来事や余計な考えが少しずつ整理されていく。 植物を一鉢ずつ見て回るうちに、小さな異変に気付くことがあります。 「昨日より葉色が薄い。」 「土の乾きが早い。」 「新芽が動き始めている。」 もし掃除をせず、植物の間を急いで通り過ぎていたら、 その変化には気付けなか
7月29日


どうして夏になると、園芸店の花苗はこんなに安くなるの?
園芸店で「SEAL」「大特価」と書かれた花苗を見て、 不思議に思ったことはありませんか? 「売れ残りだから?」 「品質が悪いから?」 そう思われる方もいるかもしれません。 しかし、実際にはそれだけが理由ではありません。 私はほぼ毎日園芸市場へ仕入れに行っています。 その中で見えてくるのは、生産者、市場、そして園芸店、 それぞれにある"夏ならではの事情"です。 理由① 生産者が安く出荷しているから 夏は花苗の流通量が増える時期でもあります。 農家さんにとって、花苗を長く持っていることは大きな負担になります。 毎日の水やりや管理には手間とコストがかかり、 売れ残れば品質が落ちたり枯れてしまったりすることもあります。 そのため、「ロスになる前に出荷したい」 という考えから、通常より安い価格で市場へ出荷されるケースが多くなります。 理由② 夏はお客様が少なくなるから 暑くなると、高齢の方を中心に外出を控える方が増えます。 さらに、ガーデニングを楽しむ人も春や秋に比べて少なくなります。 「暑い時期に植えても枯らしてしまいそう…」 そんなイメージを持つ方も多
7月22日


園芸市場の「せり」の世界|独特の数字と指のサイン、その奥深い文化とは
私は週に2~3回、園芸市場へ仕入れに行きます。 一般のお店で植物を1鉢ずつ購入するのとは違い、 私たちは24ポット入りなどのケース単位で買い付けるのが基本です。 私は安く買える競りによく参加します。 園芸卸売市場の競りは、 価格が徐々に下がっていく 「下げせり」という方式です。 まずは出品者の希望価格から始まり、 競売人が少しずつ価格を下げていきます。 そして、自分が 「この値段なら買いたい」 と思ったタイミングで、 何ケース購入するかを意思表示します。 逆に、 「この価格なら買います」 とこちらから希望価格を提示することもあります。 その際に使われるのが、 園芸市場ならではの独特な 「手やり(指のサイン)」 です。 数字は片手だけで表現します。 例えば、100円や1,000円は人差し指1本、 200円や2,000円は人差し指と中指の2本というように表します。 ところが、3は人差し指ではなく、中指・薬指・小指の3本を使ったり、 6は親指だけを出したりと、初めて見る人には少し不思議な形になります。 さらに価格には独特の業界用語もあります。 120円
7月13日


自分の人生をマネジメントする
日本は戦後の高度経済成長を経て、 産業構造や人口動態、そして社会保障制度まで大きく変化してきました。 かつては 「定年を迎えたら、年金を受け取りながらゆったりと暮らす」 という人生設計が、多くの人にとって当たり前のモデルだったように思います。 しかし、時代は大きく変わりました。 少子高齢化が進み、現役世代の人口は減少しています。 今後、団塊ジュニア世代が高齢期を迎える頃には、 年金制度がどのような形になっているのか、誰にも確実なことは分かりません。 もちろん、公的年金は今後も老後生活を支える重要な制度であり続けるでしょう。しかし、 「年金だけで十分に安心して暮らせる」 と考えるのは、以前より難しくなってきているのではないでしょうか。 だからこそ、定年後を「引退」と考えるのではなく、 「自分で人生をマネジメントする時代」 と捉えることが大切だと感じています。 その方法は人それぞれです。 例えば、アルバイトやパートで無理のない範囲で働くこと。 長年培ってきた経験や知識を生かして起業や副業に挑戦すること。 また、投資や資産形成を通じて、経済的な自立を目
7月6日


園芸店が本当に売るべきものは「植物」ではない
商売において「付加価値をつけること」は鉄則だと言われます。 では、園芸業界における付加価値とは何でしょうか。 私は、その一つが 「植物をうまく育てられること」だと考えています。 たとえば一年草なら、いずれ寿命が来るとしても、できるだけ長く花を楽しめること。 宿根草なら毎年きれいに咲かせること。 観葉植物や多肉植物なら、長く美しい状態を保ちながら楽しめること。 つまり、お客様が 「買った後も植物との暮らしを楽しめること」こそ、 本当の付加価値ではないでしょうか。 そのために必要なのは、知識・情報、そして経験です。 植物は、ただ水をあげれば育つものではありません。 日当たり、水やり、肥料、植え替え、季節ごとの管理など、少しのコツを知っているだけで結果が大きく変わります。 だから私は、できるだけお客様へ情報を届けたいと考えています。 寄せ植え教室や講座では、ただ植えるだけではなく、 園芸の基礎や育て方のコツを必ずお伝えしています。 商品を販売する際にも、POPを工夫し、 「どう育てればよいか」 「どんな特徴があるか」 が分かりやすく伝わるよう心がけてい
5月29日


商売をしているからといってその道のスペシャリストではない
私はこれまで園芸と教育の業界に携わってきました。 現在も園芸業界で活動しており、長年関わってきた中で感じるのは、 「商売をしている=専門知識がある」 という認識は必ずしも正しくない、ということです。 たとえば私は、園芸小売業の組合に所属していますが、組合員すべてが植物に詳し...
2025年4月22日
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