「ととのう」は日本人だけ?

サウナに入る。
汗をかく。
水風呂に入る。
そして外気浴。
しばらく目を閉じていると、身体の力が抜けて、頭の中が静かになっていく。
「ああ、これが“ととのう”ということか」
サウナが好きな人なら、一度は経験したことがある感覚ではないでしょうか。
でも、ふと疑問に思いました。
昔の人も、ととのっていたのだろうか?
そもそもサウナは、いつから始まったのでしょう。
① サウナは、いったいいつから始まったのか
調べてみると、サウナの歴史は私たちが思っているよりずっと古いものでした。
人類はかなり昔から、火で石を熱し、その熱や蒸気を利用して身体を温めていたと考えられています。
「サウナ=フィンランド」というイメージがありますが、
実は熱や蒸気を利用して身体を温める文化は、世界各地に存在していました。
古代ローマにも浴場文化があり、
温かい部屋や熱い部屋、そして冷たい水に入るための浴室がありました。
つまり、
温める。
↓
冷やす。
↓
休む。
という、現代のサウナにも通じる考え方は、
何千年も前から存在していたのです。
さらに古代の医学者たちは、温かさや冷たさが身体や精神に与える影響についても考えていました。
もちろん、当時の人たちが「ととのう」という言葉を使っていたわけではありません。
でも、熱い場所で身体を温め、その後に冷たい水に入り、静かに休む。
そのときに感じる爽快感やリラックス感まで、現代人とまったく違っていたとは考えにくいでしょう。
② フィンランドのサウナと、日本の「ととのう」
では、現在のサウナ文化はどこから生まれたのでしょう。
やはり外せないのがフィンランドです。
フィンランドでは、サウナは単なる健康法ではなく、昔から生活の一部でした。
身体を温める。
汗をかく。
家族や友人と過ごす。
静かな時間を楽しむ。
サウナから出て、湖や冷たい水に入ることもあります。
ただ、日本とは少し考え方が違います。
日本では、銭湯や温泉の文化とサウナが結びつき、
サウナ→水風呂→外気浴
というスタイルが広がりました。
そして、
「何分サウナに入るか」
「水風呂に何分入るか」
「何セットするか」
といった、いわば
「ととのうための作法」まで発達していきました。
フィンランドでは、必ずしも「ととのうこと」を目的にサウナへ入るわけではありません。
サウナそのものを楽しみ、身体を温め、ゆっくり過ごす。
その結果として、気持ちよくなったり、深くリラックスしたりする。
そんな自然な付き合い方が中心です。
つまり、「ととのう」という言葉と、それをサウナの目的として強く意識する文化は、日本で特に発達したものと考えられます。
③ 「ととのう」は、現代日本人が発明したのか?
ここが一番面白いところです。
「ととのう」という言葉自体は、現代の日本のサウナ文化から生まれたものです。
しかし、そこで感じる身体感覚まで日本人が発明したわけではありません。
人間が火を使って身体を温め、冷たい水や外気に触れ、その後に静かに休む。
そんな行為が始まった時点から、似たような爽快感や心地よさを感じる人はいたのではないでしょうか。
古代の人は、それを「ととのう」とは呼びませんでした。
もしかすると、
「身体が軽くなった」
「気分がよくなった」
「よく眠れそうだ」と感じていたのかもしれません。
そう考えると、「ととのう」というのは最近のサウナブームによって突然生まれたものではなく、
人間が長い歴史の中で経験してきた身体感覚に、現代になって名前が付いたものなのかもしれません。
そう思うと、サウナの見え方が少し変わってきます。
単なる健康法でも、最近のブームでもない。
火と水を使い、自分の身体と向き合う。
サウナには、そんな人間のとても原始的な営みが、今も残っているのかもしれません。
次にサウナに入るときは、
「今日は絶対にととのうぞ」
と力むのではなく、
「何千年も前の人も、こんな感覚を味わっていたのかな」
そんなことを考えながら、ゆっくりサウナに入ってみるのも面白いかもしれません。





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