「曖」に隠された、ほんのり切ない物語
19 分前
読了時間: 2分

私たちは日常的に「曖昧(あいまい)」という言葉を使います。
白黒はっきりしないとき、記憶がぼんやりしているとき。
どちらかといえば、少しネガティブなニュアンスで使われることが多い言葉かもしれません。
しかし、この「曖昧」の1文字目である
「曖」という漢字の成り立ちを紐解いてみると、
そこには驚くほど人間らしく、少し切ない物語が隠されています。
「曖」という字は、
太陽を表す「日(ひへん)」に「愛」という字が組み合わさってできています。
「愛」が入っているのだから、さぞかし温かく輝かしい意味なのだろうと思いきや、実は正反対。
この字は単体で
「日がかげって薄暗い」
「覆い隠されて見えにくい」
という意味を持ちます。
なぜ、愛という文字が入っているのに暗い意味になるのでしょうか。
その鍵は、古代の「愛」という漢字の成り立ちにあります。
実は「愛」という字は、人が後ろを振り返り、名残惜しそうに足を進める姿から生まれました。
「後ろ髪を引かれる思い」や「心が切なく、おぼつかない状態」を表していたのです。
そんな、切なくもどかしい意味を持つ「愛」に、太陽の「日」が組み合わさる。
つまり、「太陽の光が雲にまといつかれ、遮られてぼんやりと暗くなる」
という風景を表したのが「曖」という漢字です。
そう考えると、「曖昧」という言葉の見え方が少し変わりませんか?
現代の私たちは、何でも効率よく、白黒はっきりと答えを出しがちです。
けれど、人生には
「後ろ髪を引かれるような想い」や
「簡単には割り切れない複雑な感情」がつきものです。
それらが重なり合って生まれる「曖昧さ」は、決して悪いものばかりではありません。
グラデーションのような心の揺らぎを認めること。
それこそが、私たちが「愛」という切なさを抱えて生きている証拠なのかもしれません。





コメント