夏枯れの季節の過ごし方
- ナーセリー ハッチ
- 9月12日
- 読了時間: 3分

お盆を過ぎてもなお、日中の気温が35度を超える猛暑日が続いています。
まるで太陽が
「私のターン!」
と言わんばかりに全力を出しているようですね。
この厳しい暑さの中、
園芸業界は例年通り夏枯れの閑散期に突入します。
その理由は非常にシンプルです。
まず、生産農家さんにとって夏の高温は花苗にとっての「鬼門」。
苗たちも
「こんな暑さ、聞いてないよ!」
と文句を言いたいところでしょう。
暑さで傷んでしまうため、出荷量が減り、卸売市場にも商品が並びません。
そして小売店舗でも同じ状況。
炎天下に外出するお客さまは少なく、
「ガーデニング用品?いや、まずは冷たいアイス!」
という心境でしょう。
仕入れる商品がなく、さらに売る相手もいない――
この二重の理由から、園芸業界はどうしても静まりがち。
しかし、仕事がないとはいえ、
植物を育てるための必須作業は避けられません。
たとえば毎日の水やりや剪定。
真夏でも植物のご飯タイムは欠かせません。
さらに鉢上げや植え替えといった作業も、この時期に地道に続けられます。
特に夏の管理で重要なのが「切り戻し」。
茎や葉を適度にカットして休ませておくと、
残暑が和らいだころに新しい花芽をつけてくれるのです。
サルビア、セージ、ペチュニア、カリブラコアなどの夏の代表的な花苗も、
「ちょっと休憩するね」
と言わんばかりに秋に向けて力を蓄えます。
私自身は、何百ポットもの植物に同じ作業を繰り返すことを苦に感じません。
むしろ、集中して作業に没頭すると、
「余計な思考、さようなら!」
という感覚に包まれます。
いわゆる「マインドフルネス」状態ですね。
作業がひと段落すると、
「植物も私もスッキリ!」
という気分に浸れるのです。

この「夏枯れの季節」
園芸は決して止まっているわけではありません。
外から見ると静かに見えるかもしれませんが、
実は植物が
「次の季節に向けて準備中!」
という重要な期間なのです。
派手な花の姿はしばしお預けですが、
その分、根や茎を休ませ、
次の開花に向けた力を蓄えます。
人間にとっても休息が必要なように、
植物にとっても夏は「充電の季節」といえるでしょう。
園芸を仕事にしていると、
「暑さで大変そう」
と思われがちですが、
私にとってはむしろ恵まれた環境です。
好きな作業に集中し、その結果として植物が元気になり、
私自身も前向きな気持ちになれる――
これはまさに「幸せの方程式」です。
「夏枯れ」は業界的には厳しい時期ですが、
見方を変えれば、植物と向き合い、
自分とも向き合うための静かな時間。
皆さんももし庭やベランダの花が
「暑いよ~」と元気をなくしているなら、
思い切って切り戻しをして休ませてあげてください。
きっと秋には、
「お待たせしました!」
と美しい姿で応えてくれるはずです。





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