なぜ「台風」は「大風」ではないのか?「台風」という言葉に隠された、意外な語源の話

秋になり、台風や線状降水帯が全国各地で被害をもたらしています。
ニュースで「台風」という言葉を何度も耳にしていると、
ふと、こんな疑問が浮かびました。
「台風って、どうして『大風』ではないんだろう?」
台風は、まさに「大きな風」です。
それなら「大風」と書いてもよさそうですが、
私たちは「台風」と書きます。
実は、この「台」は「大きい」という意味の「大」ではありません。
もともとは、「颱風(たいふう)」という漢字が使われていました。
「颱」という漢字は、現在ではほとんど見ることがありません。
そこで、難しい「颱」を簡単な「台」に置き換え、
颱風 → 台風
となったのです。
つまり、「台風」の「台」は、「大きな風」という意味から生まれたものではありません。
では、そもそも「颱風」という言葉はどこから来たのでしょうか?
ここから話がさらに面白くなります。
英語で台風を意味する言葉は、typhoon(タイフーン)です。
実は、この「typhoon」の語源については、いくつかの説があります。
その一つが、中国語の「大風」との関係です。
中国沿岸を航海していたヨーロッパ人が、
「大きな風」を意味する言葉を耳にし、
それが英語のtyphoonにつながったという説があります。
一方で、アラビア語・ペルシャ語系のṭūfān(激しい嵐)や、
古代ギリシャ語のTyphon(テュポーン)が語源に関係しているという説もあります。
つまり、typhoonの語源は一つに確定しているわけではありません。
それでも興味深いのは、東アジアと西洋で、
それぞれ「激しい風」を表す言葉が生まれ、
長い航海や交流の中で影響し合っていった可能性があることです。
そして日本では、昔から台風のような強い風を表す言葉として「野分(のわき)」も使われていました。
「野を分けるほどの風」という意味です。
『枕草子』や『源氏物語』にも登場する言葉で、
現代の「台風」とは違った、なんとも日本らしい表現ですよね。
そう考えると、「台風」というたった二文字の中にも、
古い日本語、中国の言葉、ヨーロッパの航海、そして気象学の歴史
が重なっていることが分かります。
普段何気なく使っている「台風」。
でも、漢字を一文字だけ掘り下げてみると、
そこには世界をまたいだ言葉の歴史が隠れているのです。
次に台風という文字を見たときは、
「どうして『大風』じゃなくて『台風』なんだろう?」
と、少し考えてみてください。
身近な言葉ほど、調べてみると意外な物語が眠っているのかもしれません。





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